熱を持って接すれば熱を持って返ってくる

ーきずなー 教官&同期生

山本有大(久留米署)

この言葉は、初任科時代の担任である村田教官の好きな言葉であり、私の警察官としての信条でもあります。教官は、この言葉どおり厳しくも愛情のある方で、私たちを察官として人として育ててくれました。

私たちのことをいつも一番に考える教官が、ある時私たちに素晴らしい機会を与えてくださいました。

入校して半年が経った頃、「みんなに俺の尊敬する人を紹介したい」と、ある人を紹介されたのです。その人とは、元プロポクシング世界チャンピオンの坂本博之さんです。

坂本さんは幼少時に両親が離婚し、預けられた福岡市東区の養護施設「和白青松園」で、ボクシングの試合をテレビで見たことがきっかけとなり、プロボクサーを志し、世界チャンピオンにまで上り詰めた人です。引退後は、自らも幼少時に児童虐待の被害者であったことから、子どもたちの怒り、悲しみを受け止めるために、全国の児童養護施設の訪問活動を行っています。

その坂本さんから「警察官として忘れてはならないものを、感じて欲しい」と、我々第516期生99人に対して講演をしていただきました。

講演の中で「僕は、応援してくれる子どもたちの魂を左拳に込めて世界と闘ってきた。君たちも悪と対峙する熱き魂をその心と体に込めて仕事して、多くの人の笑顔を守って欲しい。熱を持って接すれば、熱を持って返ってくる」という坂本さんの熱い言葉に私は胸を打たれました。

村田教官が私たちに伝えたかったことは「これだ」と感じました。

講演を拝聴した日の夜、同期生と共に、坂本さんについて、また理想とする警察官像について熱く語り合いました。この時、同期生もこの講演で、感動したことや、同期生が目指す理想の警察官像を聞いて、自分も負けてはいられないと気持ちが奮い立ったことを今でもはっきりと覚えています。

また、私たちが熱く語り合うことができたのは、それまでの学校の厳しい調様をと様々な困難を乗り越え、苦しみを共に味わったからこそだと思いま

した。

私の理想とする警察官像は、強く、正しく、思いやりのある警察官です。現在は、それに少しでも近づけるように心と体に魂を込めて仕事に取り組むことを心掛けています。当然、きつくて辛いこともありますが、その度に教官、同期生との絆、そしてあの坂本さんの言葉を思い出して乗り越えています。

「熱を持って接すれば熱を持って返ってくる」

今日も心と体に魂を込めて頑張ります。